特殊な2倍関数

いきなりですが次のコードを見てみましょう:

a(X):XXXXrXXXXa(sX)
a(r)
16byteで2重の正方形を回りながら描きますね.

これを2倍関数により解消しても,実は短縮にはなりません.

w(X):XX
a(X):w(w(XX)r)la(sX)
a(r)
これだと17byteでかえってbyte数が増えてしまっています.
もう少し工夫した2倍関数の利用により,同byte数の16byteで動きを再現することは可能です.
w(X):XrX
a(X):w(w(w(X))r)a(sX)
a()

再帰の一部ではなく,次のような状況ならどうするでしょうか?

ssssrssss
これならわざわざ2倍関数を定義する人は少ないと思います.
このときは,2回出てくる「ssss」または4回出てくる「ss」を文字で置いて
p:ss
pprpp
のようにすれば短縮になりますね.実は同じようなことを再帰の一部でも使うことができます.


具体的には次のようなコードで1byteの短縮に成功しています.
(実は最初のコードと少し向きが違うものを描くのですが…見逃してください.)

a(X,Y):YrYa(sX,XXXX)
a(r,)
まさに,「Y=XXXX」として,XXXXを他の文字で置いているのが分かりますよね.

他にもXYXやXllXなどを他の文字で置くことにより短縮につながることがあります.
もちろんn倍関数などを使うのが有利な場合もあるので,
(いつも書いているけど)色んな方法を念頭に置くようにしてください.


この方法にはいくつか注意点があります.これはこの方法を使うときの
リスクであるとともに,裏を返せば「この方法だからこそ書けるコード」に繋がる可能性もあります.

まずは,「何段階目か」がずれるということです.
先ほどのコードでは,再帰の「YrY」の部分はとして実行されるものは次のようになります:

1段階目:r
2段階目:[rrrr]r[rrrr]
3段階目:[srsrsrsr]r[srsrsrsr]
4段階目:[ssrssrssrssr]r[ssrssrssrssr]
2段階目のYに1段階目のXが代入されるため,1段階目の実行では1段階目のXは反映されていないのです.
これが先ほど言った「実は最初のコードと少し向きが違うものを描く」ことの理由ですね.

つまり1段階目のYは,ある意味で使われていないのです.実は
ここを有効利用することもできます(特別な初項の講でも説明する予定です).例えば

a(X,Y):YrYa(sX,XXXX)
a(r,sss)
などと実行してみてください."sssrsss"が実行
1段階目:[sss]r[sss]
2段階目:[rrrr]r[rrrr]
3段階目:[srsrsrsr]r[srsrsrsr]
4段階目:[ssrssrssrssr]r[ssrssrssrssr]
と実行されていくのが分かると思います.初期位置を調整しながら
再帰を実行し始めるような場合に,「YrY」という関数に
好きなものを代入する形で使うことができます.過去にも少ないですが
ここを利用した短縮がありました.


次の注意点を述べましょう.例えば

a(X):XXrXXrXXrXa(sX)
a()
というコードを見てみましょう.「XXr」が多量に含まれるためにそこを文字で置いて
a(X,Y):YYYXa(sX,XXr)
a(,)
としたくなる場面ですね.実はこれではズレてしまいます.
n段階目の「Y」は,n-1段階目のXを用いた「XXr」であるためです.

このように中途半端に他変数Yに預けると,XそのものとYで成長速度に差が出るのです.
「わざと差をつける」ことで巧妙な短縮が出来る場面もあるのでテクニックとして
覚えておくとよいですが,慣れないうちは間違えやすいので気をつけてください.
なおこのことを(3倍関数などを使わず)解消するには,Xも成長速度を遅らせる方法があります.

a(X,Y,Z):YYYZa(sX,XXr,X)
a(,,)
(なお,実は上のコードはa(X,Y):YYYXa(sX,XrX), a(,)を実行したものと同じになります.
この理由も考えてみると面白いかもしれません.)


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