成長速度の調整の講では,
複数の変数を使って,ちょっぴり不規則にパターン成長をさせました. 例えば

a(X,Y):****a(sY,ssX)
a(,)
とすると,Xの部分に「,s,sss,ssss,…」つまり「0,1,3,4,6,7,…」というパターンが
現れるというものでした.Xの部分に「0,1,3,4,6,7,…」を作るという方針だと,
別の書き方をすることも出来ます.

つまり,次のようにします:

a(X,Y,Z):****a(YX,Z,Y)
a(,s,ss)
(なおこのコードには明らかに1Bの無駄があります,後述.)
上述の方法よりも原理は分かりやすいのではないかと思います.
「階差」の部分が1,2の交互になるため「0,1,3,4,6,7,…」が実現されます.

以下簡単のため,最初に挙げたa(X,Y):****a(sY,ssX)という方法を方法A
今回紹介したa(X,Y,Z):****a(YX,Z,Y)という方法を方法Bと呼ぶことにします.

方法Bと方法Aの大きな違いは,方法Bでは「1つのパターンを成長させている」という点です.
逆に言えば方法Aでは「2つのパターンを育てている」ことになります.
つまり,XとYの2つを同時に育てているのが分かりますね.そのため
XとYに別の初項を与えると,別系列のパターンを同時に育てるようなことも可能です.例えば

a(X,Y):XXXXa(sY,ssX)
a(r,l)
みたいな感じですかね.また,方法Bでは「1つのパターンを成長させる」ということから,例えば
「[0,2][1,3][2,4]…」のような,"負の階差"を含む成長のさせ方は出来ません.
(勿論状況によってはllsllのようなものが階差-1の役割を果たすこともありますが…).


さて,ただでさえbyte数が膨らんだように見える方法Bについて,さらに追い打ちをかけるように
「方法Aでしか出来ないこと」を紹介していきました.しかし,
いつでも方法Aが有利だというわけではありません.いくつか例を挙げましょう.

まずは,初項が複雑な場合です.例えば

a(X,Y):XrslsrXrslsrXrslsrXrslsra(sY,ssX)
a(,)
という方法Aのコードはそのまま短縮すると
a(X,Y):XXXXa(sY,ssX)
a(rslsr,rslsr)
と2つ同じ初項を設定する必要があります.p:rslsrのように文字で置けば
縮まりますが,この辺りは「本当は1つのパターンを育てたいのに2パターンを同時に
育てている」ことの弊害なのかもしれませんね.このあたり,「1パターンを育てる」ことに
専念すれば勿論,初項は1つはいいので短くなる場合があります.

次に,階差の部分を実行でも用いる場合です.例えば

a(X,Y,Z):XYXa(YX,Z,Y)
a(,sr,sl)
みたいな感じでしょうか?

次に,「同じ関数形の階差」の場合です.例えば

a(X,Y,Z):Xla(YYX,Z,Y) a(,ss,srsl)
のような感じでしょうか.「ssss, srslsrsl」という階差が
同じYYの部分で実現できます.なお冒頭に挙げた
a(X,Y,Z):****a(YX,Z,Y)
a(,s,ss)
というコードも,
a(X,Y,Z):****a(sYX,Z,Y)
a(,,s)
とすることで,つまり同じ関数形sYと思うことで短縮が可能です.
a(X,Y,Z):****a(sYYX,Z,Y)
a(,s,sss)
とすれば,「0,3,10,13,…」というような激しい成長も作れます.
このくらいになると方法Aよりもだいぶ短く書けそうです.

上記の「同じ関数形」と一口に言っても「YYXZY」のように左右にYZ複合してつける
ようなことも可能ですしね.もちろんそんなに複雑なものは見たことがないですが,
これに近い複雑なことをやって短縮できたようなこともあります.
単純に「YZX」のような付け方でも意外と気付きにくかったりします.奥が深いですね.


戻る inserted by FC2 system